「みてー ないちゃったよ」
悲しそうに眉毛をハの字にしながら、お風呂の中で
両の手のひらを広げて指先を見ている娘。
なかなか演技派だ。悲しいの、という表情が上手い。
パパの手も見せてあげる。
あぁ、パパの指も泣いちゃったよ。お風呂出ようか。
お風呂に長いこと入っていると指先がふやけてしまい、
しわしわになる。それを娘は泣いちゃったと表現する。
なかなか可愛い表現ではある。しかし、その背景には
あまり可愛くないエピソードがある。
リビングで遊んでいる時に、チラシか何か、紙を
くしゃくしゃにするのだ。わざとである。ダメだよ。
言ってもなかなか止めてくれない。
ほら、くしゃくしゃになって痛そうだよ。えんえんって
泣いてるよ。止めてあげようよ。
ようやく止めてくれたが、可哀相だからというより
その表現に興味を持ったようで、きらんと瞳が輝いた。
ハの字眉毛を作って、少し鼻をすするような悲しげな
表情を作って、後から来たママにくしゃくしゃの紙を
「ないちゃったよー みてー ないちゃったよー」
と見せていた。
なかなかの演技を見せる娘なのでありました。