世界は狭い

11年勤めた会社へ出てくるのも、残り10日を切った。


恐ろしいほど寂しさは無い。
思い残すことも何もない。
「ここに居る意味なんてもう、ないんだろう」
バントラの歌が高らかに流れる。


不思議と社内では転職の話にならない。
平気で普通に仕事を振ってくる。
テキトーにさばいている。


他支社の社員は優しい。
直接の利害がないからだろう。


一番残念がってくれるのはお客さんだ。
内外の評価の差が激しい僕らしい。
外の人は残念がり、名古屋を離れることに
寂しがってくれる。


とはいえ、僕はサバサバしている。


なんだろう。ポッドキャストによって叶った転職だが、
そのポッドキャストは僕の世界を広げてくれた。
世界を身近にしてくれたというか。


名古屋から東京なんて近いもんだ。
移動だって新幹線で2時間とかからない。
ていうかメールとかなら距離なんて関係ない。


ポッドキャストで海外のアーティストの曲を流し、
メールをもらい、つたない英語でチャットまで。


それだけじゃない。知り合いのポッドキャスターは
全国に散らばっている。


みんなの声をポッドキャストでいつも聴いている。
いろんな話を聴いている。


肉声で届く全国からの声はリアルで身近な存在だ。


なんだか今までの人間関係や生活が思ったより狭く
小さいものだったんだなぁなんて驚いている。


国内の、しかも名古屋と東京なんて近い近い。
寂しがることなどなんもない。メールくださいな。
仕事があるなら飛んできますぜ。