こうやってー


窓際で洗濯物をハンガーに掛けている。足下には
洗濯機から出てきたばかりで水分をたくさん含んだ
衣類が籠に入っている。


娘はすかさずにお手伝いにやってきた。干す前の
洗濯物を取り出しては10個に1個くらいを手渡して
くれるが、気に入った物があると身体に巻き付けたり
して遊んでいる。


いい加減に馴れた。いつものことだ。


娘が籠から取り出し見定める作業と、見捨てられた
洗濯物を籠に戻したりハンガーに掛けたりの攻防、
平日は奥さんで週末は僕の役目だ。


「こうやってー、こうやってー、こうやってー」
なんか喋っている。上手いもんだ。テンポよく一定の
リズムで楽しそうに喋っている。


次にハンガーに救われる衣類を探そうと下を見ると
ご機嫌な声は洗濯物を一つ一つ「こうやってー」と
言いながら勢いよく籠の外に出している様子であった。


やたら発音良くはっきりと、ニコニコご機嫌で
楽しそうに洗濯物の籠をほとんど空にしていた。


ご機嫌にとんでもないことをしているが、あまりに
楽しそうなんで怒れるどころか爆笑してしまった。


あまりに僕が大笑いしたからか、娘は「こうやって」
を完璧に覚えたようで、その後もたびたび口にする
姿を見ることができた。


「こうやってー、こうやってー」
また人形を持ってなんかやってる。