財布騒動


昨日だが、会社でふと財布がないことに気付いた。
いつもカバンに入っているはずが、入っていない。
家に忘れたかと諦めて、小銭入れでしのいだわけだが、
なんと家に帰っても財布が見当たらない。


いつものカバンの中にも、家でいつも置く場所にも
ないとなると頭が真っ白、思い当たるところがない。


前日に最後に使ったのを覚えている。そのときに
乗っていた社用車だろうか。そこしか思い付かない。


さて、明日は出張なので会社には行かない。そして
明日の出張に財布がないと困ってしまう。


泣く泣く夜中なのに会社に向かって車を走らせる。
正直、眠いし、明日のために早く寝たいのだが、
このままでは出張に行けない。


渋々ながら会社に着いて、社用車を調べる。
そこしか思い付かない。社用車にあるものと思い
込んでいた。前にも車の中に落としていたことは
あるので、余計に疑っていなかった。


しかし、無いではないか。車のどこにもない。
シートの下、サイドポケット、トランクの中までも
どこにもない。


眠気と血の気が同時に引いていった。やばい。
もしやズボンのポケットに入れていたのだろうか。
いつも落とさないようにカバンに入れるようにして
いるのだが、昨日はカバンでなくてポケットだったの
だろうか。


しかし、何故か落としたという気はしない。ただ、
自信がないのは、ポケットに入れておいて電車で
ウトウトとしている間にすられたかどうかだ。


ぐるぐるとした頭で事務所の中に行き、自分の机へ
行く。机の上にはもちろんない。帰りに見たままだ。


呆然と自分の椅子に身を沈める。参った。
クレジットカードなどは持っていないのでいいが、
免許証が入っている。他に何があったかな。
こういうときはどうしたらいいんだったか。


ふと、机の横のカバン、パソコンを持ち運ぶために
使っていたカバン、あまり使っていなくて、いつもは
ロッカーにしまってあるカバンがあったので何となく
中を見てみると、あった。


あるじゃん。
カバン間違いでしまってるじゃん。
ホッとするというか、自分の間抜けさに脱力。
こんな夜中に何やってるんだ。

さ、帰ろ。