名前が分かるんだね

奥さんを観察していると、たまに軽く
ポンポンとお腹を叩いているときが
ある。


料理をしているとき、
外出して買い物をしているとき、
本を読んでいるとき、
ご飯を食べているとき、
僕と話しているとき。


時と場所を選ばずにポンポンと叩いて
いる。


これはお腹の子どもが動いたり、
お腹を蹴ったりしたときの「返事」な
訳なのだが、もはや条件反射の粋に
なっていて、奥さん自身は無意識に
返事をしているときもある。


僕と話しているときなんかは無意識の
ときが結構あるように見える。


ふと気付いたのだが、僕との会話の
中で、すでに名付けて、何カ月も呼び
続けている子どもの名前が会話に出て
きたあとは、かなりの確率で「返事」
をしている。ポンポンと。


ポンポンと返事をしてるってことは、
その前にお腹の子が動いたってことだ。
もう自分の名前が分かって、名前を
聞くと反応するのだろうか?


そういうことは、あるらしい。
産まれてからも、泣いたりしたときに、
お腹にいたときに読んでいた名前で
呼び掛けると落ち着いて泣き止むという
こともあるそうだ。


もう名前を憶えているんだろうなぁ。
呼び続けた甲斐があったというものだ。


最初は僕が呼び掛けても反応しなかった
のに、最近では反応してくれる。
昨日のように読み聞かせをして反応する
のも僕の声を憶えててくれているから
だろう。


胎児の能力には驚かされっぱなしだ。
はっきり言って、侮っていたことは
認めざるを得ない。


産まれる前からいろんなことを知覚して
記憶している。
すでに人格として生活をしている。


実際に奥さんが妊娠して、こうやって
体験するまで知らなかった。
人間、産まれてからいろいろと周りから
吸収していくものだと思っていたが、
産まれる前から吸収し、成長していて、
自己主張をし、意思表示をして、僕たち
に訴えかけてくる。コミュニケーション
をとろうとしてくれる。


子どもってすごいなぁ、人間ってすごい
なぁ、って発見の毎日。