去年の日記


みうちゃんを寝かしつけ、もう十分に
遅い時間。まぶたを持ち上げるだけで
ひと苦労といった様子なのに、黙々と
奥さんはマフラーを編み続けている。


あと一息で出来そうなんだそうだ。


ここのところ疲れ気味の様子なので
早く寝た方が良いのではないかと
心配ではあるが、本人も承知の上で
無理して仕上げちゃいたいようだ。


ここで5分くらい停電があったら
寝てしまいそうな顔をしているが。


僕も眠いのではあるが、僕よりも
眠そうな人が起きているとなると
何となく付き合って起きてみる。


丁度良いので、前々から取り組んで
中断していた、古い日記の整理を
してみる。


去年の日記から妊娠と出産にまつわる
ものだけを集めてみているのだ。


そろそろ妊娠中期に突入なのだが、
読み返すと懐かしくもあり新鮮な
感じもする。


ほんの1年と数ヵ月前の出来ごとだか
すでに懐かしい。かなり忘れていた
こともある。
人間の記憶とはあいまいなものだ。


考えたら1年前にはみうちゃんは
まだ奥さんのお腹の中だったわけだ。
指差し確認をしながら、笑ったり
踊ったりしている姿を見ていると
にわかに信じられないものがある。


だって1年半前は2.2cmだよ。
30倍以上大きくなっている。
この勢いだと来年には追い越されて
しまいそうだ。


こんな風に日記を読み返すと、たった
1年でもかなり面白い。
10年後とかに読み返すとどんな感じ
なんだろうか。


ふと、安定期前の奥さんが具合が
悪くなって病院へ行ったときの日記が
目に止まった。


幸いどこも悪くなく、お腹の子も
経過良好ということで、大事には
至らなかったが、たぶん精神的な
疲れが原因だろう。


少し調子が良かったので無理をして
しまったのだ。
変わってないなぁ。当たり前だが。


思わず振り返ってまぶたの重そうな
奥さんの顔を覗いてしまった。