プライドが傷ついた

そろそろ仕事に出かけようかと準備をしていると
寝起きの娘につかまる。
「カーギ、カーギ」
「ケータイ、ケータイ」
ごめん。今から使うのさ。


さすが寝起き、ご機嫌が不安定だ。泣きそうに。
近くにあった、電池の切れた、前に使っていた携帯を
渡す。ストラップをみせたりして気をそらす。
どうやら持ち直してきた。


ストラップの一つに、加藤茶がグルグル眼鏡をかけ、
警官に扮した「カトちゃん」のストラップがあった。


娘はおもむろに指差して「キッキ」。猿に見えたらしい。
そうかぁ、カトちゃんは猿に見えるんだ。
面白かったので大笑いしてしまった。


すると急に娘の顔が曇り出して口が歪んだかと思ったら
泣き出しちゃった。結構大泣き。


この泣き方は初めてじゃない。プライドが傷付けられて
悔しくてたまらない泣きだ。


「キッキ」と言ったら笑われた。バカにされたような
気にでもなったのだろうか。こっちは、その間違いが
単純に上手すぎて面白かったのだが、娘にとっては
プライドを傷付けられ、許せない笑いだったようだ。


高いねぇ、プライドが。
どんな風に大きくなっていくのだろうか。怖いような
楽しみのような。