変な天気だ。前が見えないくらいに車のフロントガラスを
雨が叩きつけてるかと思ったら、次の瞬間は乾いた
フロントガラスを虚しくせわしくワイパーが擦っている。
今は青空から陽をのぞかせながら土砂降りだ。前が
見にくいったらありゃしない。どっかで警報が出たらしい。
運転は危なそうなんで少し休憩。雨が弱まって陽が強く
なってきた。眩しい。
眩しさから目を逸らすように反対に目をやる。虹だ。
すごい。ものすごくくっきり綺麗な虹だ。こんなに見事な
虹を見たのは初めてだ。描いたようにくっきり。近い。
すぐそこだ。虹の付け根までくっきり。その小山の前だ。
付け根に行けそうな気がしちゃう。
よく見たら虹の外側にもう一つ薄い虹が架かっている。
なんて素晴らしい。人生も悪いことばかりじゃない。
変な天気だが、こんなおまけ付きなら大歓迎だ。
くそっ。こんな時にカメラがない。おもちゃカメラも
娘にあげてしまった。携帯電話のカメラじゃ無理だった。
第一、窓を開けたら雨が降り込んできた。何てこった。
そうこうしてたら虹は薄れていった。もう付け根は
見えない。時間にしたら短かったのだろう。はかない。
そのはかなさに、また心が動かされる。幸せだ。
娘にも見せてやりたかったが、きっとデジカメのデータとして
パソコンで表示するよりも、こんな変な天気の合間の
ほんのひとときの時間でボーッと見とれる方が何倍も
良いんだろう。直接見るべきだ。絶対に。じゃなきゃ
本当の良さは分からない。
いつか一緒に見れると良いのだが。