パパの髪型


今年初めてだから、少なくとも4ケ月以上は
経っているが、髪を切ってきた。
すっかり伸び切っていたが、何となく放って
あったのだ。


実は昨日、娘と奥さんは切ってきたようで、
ついでに僕の予約を入れてきたんだそうだ。
奥さんから「予約を入れたよー」との連絡が
あった。「髪型も決めてきたからー」。


髪型とは僕の髪型である。何故かもう決まって
いるようだ。誰かの髪型にしてくれと頼んで
きたのだろう。


ふと、考える。最近見た映画。
モンスターズインク。いや違うだろう。
一緒に買ったアバウト・ア・ボーイか。


聞いてみた。「ヒュー・グラント?」「正解」。


なんて分かりやすいんだ。


とにかく言われるがままにDVDのパッケージを
持って出かけた。要するに結構短く切っちゃう
ということで切ってみた。


美容師いわく、ヒュー・グラントかどうかは
分からないが、奥さんの望みはだいたい分かる
ということだ。すでにリサーチ済みなのだろう。


結局、後ろは頑張ったと美容師はアピールして
いたが、素人目にはよく分からず。すねちゃった
ので適当に褒めつつ、帰る。
奥さんに見せるまで髪の毛を触るなと言われつつ。


一体、誰の髪なのか。みんなして。


どうやら奥さんは満足だったようで、僕の仕事は
無事に終了した。けれどもそれ以上に驚いたのは
娘の反応だ。


髪が短くなって帰ってきたパパを不思議そうな
目で見つつもにこやかなのだ。なんか嬉しそう。
それどころか、いつもよりベタベタとまとわり
ついてくる。


パパであることを確かめているようでもあるが、
短い髪型を気に入ったようでもある。
やたらとくっついてきて、いつもと待遇が違う。
見つめるまなざしも一目置かれている感じ。


いつもの執事のような扱いではなく、人間として
扱ってもらえている。これはマメに髪を切りに
いかなくてはいけないかもしれない。なんてね。