帰りの電車。人の多い時間帯なんだけど、ふと周りを見渡す。頑張って隣の車両までも見渡してみる。隣の車両の半分くらいしか見えないけど。みごとにみんなマスクしてる。すごいなぁ。1人くらいして無いかと思って頑張って探したけどいない。1人、おじさんがマスクを顎にずらして鼻が出てる。なぜだかホッとする。いや隠れてた方がいいんだけど、みんながみんな一緒すぎて少し息苦しい感じがしたから。きょとんとした表情で鼻が出てる姿に妙な安らぎを覚える。
ふと目線を上げると、電車の中吊り広告に写る人たちは誰もマスクをしてない。変な図だ。いや、わかるよ、自分も撮影するときはマスクを撮影の時だけ外してもらうように頼むから。コロナ禍が収束したら使えなくなっちゃうからね。使いにくいというか。けど、まだ続くんでしょ。なんか、広告の中の現実味のなさが、虚しい。
気付いたら、鼻を出してきょとんとしていたおじさんが居なくなってた。寂しさを紛らわすためにヘッドフォンをしてボリュームを上げた。
