臭いのもとは

夕飯を食べ終わると怒ったように泣き叫ぶ娘。
いつもと様子が違う。機嫌が悪い。そして臭い。
スパイダーマンでもないのに手から糸が出ている。
そして臭い。こちらは苦笑いしか出ない。


自分でもぬるぬるして気持ち悪かったのだろう。
奥さんに連れられ、手を洗いにいって帰ってきたら
ケロッと機嫌良くなっていた。本当に気持ち悪かった
だけのようだ。
だから納豆を手掴みで食べるもんじゃない。


今まで見ていないようで見ていたんだろう。
納豆のカップをくれと要求する。そして箸と。
観念して渡すと、納豆のカップに箸を突き刺して
動かしている。よく見ていたものだ。


興味を持ったからか、一時期食べなかった納豆を
口に持っていくと食べ出した。結構食べる。
納豆の美味しさが分かるようになったのか。


奥さんが箸ではなく、フォークで納豆をあげていると
そのフォークをよこせという。そして自分で上手く
食べている。凄いもんだ。


上手に食べるのでしばらく放っておいた。好きに
食べさせていた。おとなしく食べてるし。


しまった!
気付いたら手掴みで食べていた。くっちゃくっちゃと
糸を引きながら。真剣な顔で。


どうしようもない。手遅れだ。なんてこった。
しかも、その手で他の食べ物を握っている。


なにイライラし始めてるの。滑るかね。
あーあ、テーブルとかも凄いもんだ。
何を怒ってるの。下に降りたいの? 待ってよ、
いま凄い状態になってるんだから。


なに待てないの? そんな怒って泣かないでよ。
しかし凄いことになってるねー。そして臭いねー。


においの分だけ、納豆はパスタよりも大変だ。