鬼コーチ


なんか足が痛いんですよ。一昨日くらいから怪しい兆候があって、
昨日いつものように娘に部屋をグルグルと部屋の中を走らされて
痛くなってきた。足の裏のかかとに近い辺りかな。


ここ数日、歩く量が多かった上に、家に帰れば娘に走らされる
という体育会系なしごきについていけなかったのか。
まさか疲労骨折じゃないよね、ていうような痛みです。


そんな日でもコーチは容赦ないです。
「ぱぱ はしって!」


なんで?
なぜ毎日鍛えられているの?
パパ足が痛いのよー。


「ぱぱ はしって! はしって! はしっっってー!」
仕方なくゆっくりと娘について周るが納得いかないらしく、
とはいえ本当に痛いんで走れず。ついに娘を泣かせてしまった。


えぇ、勘弁してー、治ったら走るからさー。


しばらく泣く娘を抱き締めながら説明する。
内容が分からなくてもニュアンスで困っていることを伝えたい。


しばらくすると、
「えんえん ないちゃったの みうみう」
ごめんねー、パパ走れなくて。大丈夫?
「だいじょうぶ。ないちゃったの」


良い子だ。


「いたい! あし いたい」
驚いて娘を見ると、床に座ってかかとを手で押さえている。
もしかして、パパの真似?
泣きやんでいきなりパパをからかうのですか。


パパの真似なの? やだー、みうみうー。
その真似の演技が上手くて本当に痛いのかと思ったが、
娘も笑っている。なかなかやるもんだ。しかし、パパが足が痛い
ことを分かってくれたようだ。


そんな娘、スクッと立ち上がって一言。
「ぱぱ はしって!」