朝のわがまま

「ぱぱ おしごと いかないで」
弱々しい声で目を逸らしがちにそんなことを言われたら
こっちも会社なんて行きたくなくなるというものだ。


けど、いかなきゃなんないんだよー、と説明すると
「いやー」


困ったやら、嬉しいやら、戸惑うやら、愛しいやら、
いろんな感情がうずまく。けれども時間は止まらない。
少し相手をしながらも朝の準備を進めていく。



出かける直前、本を読んでという。
さほど時間はないが、ギリギリではない。小さい本でも
あったので、気持ち駆け足で読んであげる。



はい、お終い。
じゃあ、パパはお仕事に行って来るね。
次の本を読んでという前に会社に行くことを告げる。


時間がないのを無理に読んだのを分かっているのかも
しれない。そんな中、1冊読んでもらったことに
満足をしているようである。


「うん。ぱぱ ばいばい」
いつもよりも明るく手を振って送り出してくれた。
自分が大切に思われていることを確認したかのようだった。


今回は上手くいったけど、親の対応も難しいね。