ビール缶


キッチンカウンターに向かって、おもむろに
指をさして「おーじーちゃん」と言って、
同意を求める目でこっちを見る娘。
おじいちゃん? どこに?


昨日、お菓子の袋に赤ちゃんとおじいちゃんの
絵があって、それを「おーじーちゃん」と
言っていた。けれどもカウンターにお菓子の
袋は無い。他にもおじいちゃんと思われる物は
置いていない。なんだろう。


その場は結局分からずじまいで流してしまった。


今日はボーナス日でして、わずかながら支給を
されました。なんとか家庭内での面子を保つ
ことが出来た訳ですが、食卓にビールが置かれた。
普段、あんまり僕は飲まないので食卓にビールが
置かれることは珍しい。


全然飲まないわけではないが、置いてある方が
珍しい。そのビールの缶を指差して、もう一度
「おーじーちゃん」娘が言う。


そうか、これか。さっきもカウンターの上にあった。


「おーじーちゃん」は本当に娘のおじいちゃんで、
僕のお義父さんだったわけだ。奥さんの実家へ
お邪魔すると、お義父さんと僕がビールを飲んで
いるもんだから、ビールの缶はお義父さんを連想
させたようでした。


よく見ているもんで。笑えました。
ビール缶=おじいちゃん